奥富茶園(狭山地方の有名な茶農家)の奥富さんと一緒に時間を過ごし、3月の茶農家の仕事について尋ねました。
3月は茶農家にとってそれほど忙しい月ではありません。繁忙期を100とすると、3月はその10%程度でしょう。3月が全く忙しくないというわけではありませんが、5月の収穫期と比べると、明らかに遠く及ばないと言えるでしょう。(日本の茶農家にとって、年間で最も閑散期となるのは1月から2月です。)
3月に一番茶の準備として農家が行うべきことをいくつか見ていきましょう。3月は最初の新芽が出る直前の時期で、農家は美味しい茶葉を作るために様々な技術を用いています。まず、一番茶に古い葉が混ざらないように、茶垣の冬葉を刈り取ります。[注:京都では、この冬葉を焙煎して京番茶を作ります。]
農薬を使用する農家は、この時期に害虫の被害を防ぐ対策も講じます。非常に強い農薬を使用すると、当然のことながら環境を破壊し、良質なお茶の生産を阻害します。そのため、知識のある農家は、油を使って害虫を窒息させたり、脱皮を阻害したりするなど、効果の弱い農薬を集中的に使用します。こうした農薬は、環境への影響を最小限に抑えることができます。
また、この時期の気温に応じて、日本の農家は高い支柱の上に設置した太陽光発電ファンを使って茶畑の上空の空気を循環させることがよくあります。一般的に、茶畑から6メートルほど上の空気は茶畑より4~5度暖かく、下向きのファンがこの暖かい空気を茶の木に向かって送り出すことで、冷たい空気が茶の木に霜を付けるのを防ぎます。新芽が出る時期に気温が低いと、霜によって茶の木は大きな被害を受ける可能性があります。3月が進み、季節がだんだん春らしくなるにつれて、茶農家は葉の芽が出るのを心配し、気温や天気を心配し、今年はどんなお茶が生産できるのかと不安になり始めます。
2013年の冬は寒かったものの、暖かくなるのが早く、埼玉県狭山市では例年より少し早く新茶のシーズンが始まると予想しています。例えば、九州の南に位置する種子島では、既に新茶が出ています(3月28日現在)。昨年は4月11日に出土した鹿児島の新茶も、今週には出土するはずです。(ちなみに、標高の高い茶園では、出土時期が遅く、5月まで続くことが多いです。)
