山あいの産地でつくられるお茶

岐阜県・揖斐。
山あいに広がるこの地域は、古くからお茶の産地として知られています。
揖斐では煎茶に加えて、抹茶の原料となる碾茶の生産も行われています。
私たちは今回、新たに取り扱う白井製茶の揖斐茶の原料となる荒茶を製造する、桂茶生産組合を訪ねました。

夏は厳しい暑さ、冬は深い雪。
寒暖差が大きく、朝には霧が立ち込めることも多い土地です。
土壌は水はけのよい砂質で、この土地ならではの環境の中で茶葉はゆっくりと生育し、旨味を蓄えていきます。
こうした自然条件のもとで生産が行われているのが、農事組合法人・桂茶生産組合です。
1978年に設立され、約50ヘクタールの茶園を管理する生産組織です。
現地でまず印象に残ったのは、整然とした茶園の風景でした。
畝(うね)の方向や幅が揃えられ、均一に広がる景色。
機械化を前提に設計された茶園では、乗用型摘採機による収穫が行われています。
また、JGAP認証の取得により、栽培から加工までの工程管理が徹底されています。
施肥や防除のタイミングも統一されており、安定した品質につながっています。
茶園は山の斜面にも広がり、この地域ならではの地形の中で栽培が行われています。
荒茶までの加工

収穫された茶葉は、蒸し・冷却・乾燥といった工程を経て、水分量を段階的に調整しながら荒茶へと加工されます。
荒茶は“原料”として、この後の工程へと引き継がれていきます。
訪問したのは4月上旬。新茶の時期は5月上旬とのことで、工場はまだ稼働前でした。
静かな工場の中に並ぶ設備からは、これから始まる製造の様子が想像されました。
収穫期には大量の茶葉が持ち込まれ、茶葉の状態や時期に応じてライン数を調整しながら加工が行われます。

35年前から続く、揖斐の碾茶づくり

揖斐では煎茶に加えて、かぶせ茶や抹茶の原料となる碾茶の生産も行われています。
中でも特徴的なのは、比較的早い時期から碾茶づくりに取り組んできた点です。桂茶生産組合では1991年から碾茶の製造を開始しており、この地域の中でも早い段階から生産体制を整えてきました。
近年は抹茶需要の高まりを背景に、新たに碾茶施設を整備する産地も増えていますが、揖斐ではそれ以前から継続的に生産が行われてきました。
碾茶工場には、昔ながらの耐火レンガ炉が4本設置されています。これらは高温で茶葉を乾燥させるための設備で、現在も稼働し続けながら碾茶づくりを支えています。
抹茶需要の拡大に伴い、碾茶の重要性は年々高まっています。揖斐の茶づくりは、こうした設備と長年の生産体制によって、安定した原料供給を支える産地としての役割も担っています。
荒茶の流通

桂茶生産組合で生産されたお茶は、荒茶の状態で出荷されます。
その多くが静岡へ送られ、仕上げや流通の工程を経ます。
近年は海外市場も意識されており、品質管理や基準への対応も進められています。
仕上げ工程

荒茶は、地域内外の茶商へと渡り、仕上げ工程を経て製品へと仕上げられます。
揖斐地域内にも、仕上げ加工を行う茶商が存在します。その一つが白井製茶です。
白井製茶では、荒茶を単に仕上げるのではなく、お茶の個性を見極めながら製品としての味わいを設計していきます。
その工程の中核となるのが、茎や粉を丁寧に選別し、雑味を整える選別工程、香りを引き出す火入れ、そして複数の茶を組み合わせて味わいを整える合組(ブレンド)です。
それぞれの工程を通して、産地ごとの特徴を活かしながら、安定した品質と香味のバランスが生み出されています。
合組(ブレンド)の役割

品質を一定に保つために欠かせない工程です。
白井製茶では、桂茶生産組合で生産された荒茶も、その一部として使用されています。

今回取り扱うお茶について



桂茶生産組合で生産された荒茶の一部は、白井製茶へと渡り、仕上げを経て製品となります。今回取り扱うお茶も、その一つです。
荒茶の状態で出荷され、別の場所で仕上げが行われるケースも多く見られます。一方で、白川茶の新田製茶のように、生産から仕上げまでを一貫して行う生産者も存在します。
こうした長い生産と流通の仕組みの中で、産地では人の担い手に関わる変化も見られます。
桂茶生産組合では、かつて160軒あった生産者が、現在では一桁にまで減少していると言います。
それでもなお、この土地では、白井製茶や桂茶生産組合のような担い手によって、茶づくりの営みが続いています。
今回ご紹介する白井製茶のお茶は、
まろやかで奥行きのある味わいと、引き立つ香りが特徴です。
詳しくはこちら:
→ 白井製茶のお茶を見る
